東大物理'04年前期[3]

 図3のように、二つの容器12のそれぞれに1モルの気体12を入れ、水平な床に固定する。これらの気体はともに理想気体とする。二つの容器は摩擦なしに水平に動くことのできるピストンAでつながれている。ピストンAの容器1内の底面積はであり、容器2内の底面積はである。容器2にはさらに、上下に動くことのできるピストンBがついており、その上に質量mのおもりがのせてある。ピストンBの底面積はSであり、その質量は無視できる。容器1には体積の無視できるヒーターが取り付けられている。ピストンABと容器は熱を通さない。気体は容器の外にもれず、容器の外は真空である。気体定数をR,重力加速度をgとする。
T ピストンBが動かないように固定されている場合を考える。
(1) ピストンAが静止している状態において、気体1の圧力と気体2の圧力の間に成り立つ関係式を書け。
(2) はじめ気体1の方が気体2より温度が低く、気体1の体積が,気体2の体積がであった。ヒーターで気体1を加熱して気体12を等しい温度にした。このときの気体2の体積を、を用いて表せ。
U ピストンBが摩擦なく動くことができる場合を考える。ピストンABが静止している状態において、気体1の温度がTであるとき、気体1の体積を、STRmgを用いて表せ。
V 問Uの状態から気体Tをヒーターで加熱したところ、気体1の温度はになり、気体2の温度は変わらなかった。また、ピストンAは右に距離xだけゆっくりと移動し、ピストンBhだけ上昇した。
(1) 移動距離xを、Shを用いて表せ。
(2) 温度を、TRmghを用いて表せ。
(3) 気体1は単原子理想気体として、ヒーターから加えられた熱量Qを、mghを用いて表せ。

解答 東大物理でよく見られる、数多くの条件をどう取捨選択して使い回して行くか、というところに頭を使う問題です。気体の問題としては難問ではありません。なお、理想気体を参照してください。

T(1) 気体1,気体2圧力とします。
ピストンAは、気体1から右向きにを受け、気体2から左向きにを受けます。
ピストン
Aに働く力のつり合い
......[]

(2) 状態方程式と力のつり合いを考えるだけでは条件が不足します。問題文の先の方を読んでみると、VでピストンAが右に距離x動く、という記述があります。ピストンの移動距離に着目してみます。
気体1を加熱したとき、ピストンAが右(気体1は温度上昇しているから膨張する)x動くとします。気体1体積から増加してになり、気体2体積から減少してになったとします。
より
・・・@

加熱後の気体1圧力,気体1と気体2絶対温度Tとして、
気体
1状態方程式 ・・・A,気体2の状態方程式: ・・・B
また、ピストン
Aに働く力のつり合いより、 ・・・C
A,B,Cより、
これを@に代入すると、 ∴
......[]

U ここでも、ピストンAに働く力のつり合いから、気体1と気体2圧力の間に、という関係が成立します。
ピストンBに働く力のつり合い:


気体1の状態方程式: ・・・D
......[]

V 余程の自信がある人でない限り、こういう問題は、はじめから上手にやろうとすると失敗します。手の着くところ順々に攻めていきます。
まず気体2を考えます。気体2は、温度が変わらないので内部エネルギーは変化しません
気体
2ではのやりとりもないので、熱力学第一法則より、ピストンAからされた仕事はそのままピストンBを持ち上げる仕事になります。
ということは、
気体2の状態は何も変化しないということです。つまり、気体2圧力体積は、一定値、のままと考えられます。
さらに、ピストン
Aに働く力のつり合いより、気体1圧力は一定で、気体1が定圧変化をしていることがわかります。
(1) 気体2体積について:
......[]

(2) (1)の結果を用いると、加熱後の気体1体積は、
気体1圧力として、加熱後の気体1の状態方程式: ・・・E
E÷Dより、
(シャルルの法則)
......[]

(3) 気体1定圧変化をしているので、定圧モル比熱の式を利用します(モル比熱を参照)
単原子分子理想気体では、定積モル比熱は,定圧モル比熱はです。
気体
1について、定圧モル比熱の式により、ヒーターから加えられた熱量Qは、
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