慶大理工物理'10[2]

以下の文章中のに適切な数式または数値を記入しなさい。ただし、解答に使える物理量は、および、Vmだけとする。

(1) 小球が図1のように、運動するなめらかな平板と弾性衝突をして進行方向を変える。xy軸を図1の方向にとり、小球はx-y平面内で運動するものとする。小球が平板に衝突する前後の速度は、静止した観測者から見てそれぞれであり、とする。平板はx軸に垂直で十分に広く、その速度のx成分は一定値Vであり、y成分は0で、これらは小球との衝突により変化しないとする。ただし、Vは正負いずれの値もとるが、小球と平板が衝突するようにを満たす。図1のように小球の入射角をθ,反射角をとすると、およびの関係がある。なお、重力や小球の回転運動は考えなくてよい。
平板とともに運動する観測者から見ると、小球の速度のx成分は、衝突前は,衝突後はである。これを静止した観測者から見ると、衝突後の小球の速度のx成分はである。の場合は、平板とともに運動する観測者から見ると、小球と平板の衝突は図2のように見える。このときの入射角をiとすると、である。また、平板とともに運動する観測者から見ると、入射角と反射角が等しいこともわかる。一方、静止した観測者から見た反射角は、を満たす。このことから、のときだけとなり、ではではとなることがわかる。また、()より、ならばとなり、小球は衝突後もx方向に進み続ける()。このように入射角がθ のとき、の範囲でVを変えれば、反射角の領域で変化させることができる。

(2) 以下では平板の速度のy成分は0のまま、x成分を一定の負の加速度 ()で変化させる。さらにここでは、小球と平板間の反発係数は,動摩擦係数はとする。また静止した観測者から見る場合だけを考え、小球は(1)と同様にx-y平面内で運動するものとする。ここでも重力や小球の回転運動は考えなくてよい。時刻で小球は平板に接触した後、平板から力を受けながら平板とともに進んだ。時刻での小球の速度を(1)と同様にと表すと(ただし)、小球が平板からはね返らなかったので、平板の速度のx成分は時刻ではであったことがわかる。また小球の質量をmとすると、時刻に小球が平板から受ける力のx成分はである。その後、時刻で平板を取り除いた。時刻での小球の速度をと表すと、小球がx方向へ進み続ける()ためには、とすればよい。の場合には、小球はに平板に接触した後、平板面上を運動する。この間、小球は平板から摩擦力を受け速度のy成分は減少する。時刻となる条件は、小球と平板面間の動摩擦係数を使って、と表される。反射角で与えると、かつならば反射角は最大値をとる。このようなTが存在するための条件は、入射角θ (1)と同様にで与えると、である。


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解答 考えにくい相対運動の問題です。以下では細かく丁寧に検討していますが、空所補充問題でもあり、本番では、正負に注意すれば、もっと感覚的に解答してよいと思います。

(1)() 衝突前、平板、小球のx方向の速度成分はそれぞれVです。平板とともに運動する観測者から見ると、小球の速度のx成分は、 ......[] (相対速度を参照)
弾性衝突なので反発係数を1として、反発係数の式より、
よって、
() 衝突後、平板、小球のx方向の速度成分はそれぞれVです。平板とともに運動する観測者から見ると、小球の速度のx成分は、
......[]
() 静止した観測者から見ると、衝突後の小球の速度のx成分は、 ......[]
() 平板とともに運動する観測者から見て、図2の小球の速度のx成分y成分,よって、
......[]
() より、
......[]
() のときなので、より、
......[]
の範囲でVを変えると、とするとき、
とするとき、
なので、
また、ではなので、
(三角関数を参照)に注意して、のとき、
よって、
() 0 ......[]
() ......[]

(2)() 小球が平板からはね返らなかったので、衝突直後の小球の速度のx成分時刻での平板の速度Vに一致します。()の結果で、とすると、
,∴
よって、での平板の速度Vは、 ......[]
() になっても小球は平板から離れず、平板(加速度で運動する)とともに運動する観測者から見ると、x軸正方向に慣性力が働きます。また、小球は平板と接触しているので、平板からx軸負方向の垂直抗力N ()を受けます。平板とともに運動する観測者から見て、力のつり合いより、
 ∴
時刻に小球が平板から受けるx成分は、 ......[]
() 静止した観測者から見て、の間、小球はx方向に加速度等加速度運動をします。時刻tにおける小球の速度のx成分vは、においてより、
時刻Tにおける小球の速度のx成分は、
となるためには、
......[]
() 平板とともに運動する観測者から見て、平板と接触を続ける小球が平板からy方向に受けるは、動摩擦力 (摩擦力を参照)で、の間、小球はy方向に加速度で等加速度運動します。
時刻tにおける小球の速度のy成分は、においてより、
となる時刻は、
小球はy方向に一旦停止すれば動摩擦が静止摩擦に変わり、そのままとなります。
においてとなるために、
......[]
() 「このようなTが存在するための条件」とは、となるようなTが存在するための条件、ということであって、()()の条件をともに満たすTが存在するための条件で、
であれば、条件を満たすTが存在します。よって、

......[]


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