東大理系数学'91前期[5]

xy平面上、x座標、y座標がともに整数であるような点を格子点と呼ぶ。
各格子点を中心として半径
rの円が描かれており、傾きの任意の直線はこれらの円のどれかと共有点をもつという。このような性質をもつ実数rの最小値を求めよ。


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解答 問題の意味は、間隔1mの碁盤目状の位置に、断面の円の半径がrの円柱と見なせる竹が並んでいて、その間を、傾きの方向から光を入射させるときに、光がすり抜けないような半径rの最小値はいくらか、ということです。
竹林の中から光が漏れてくるのを見て老翁がかぐや姫を見つけた古典にちなんで、「かぐや姫」問題と、私は呼んでいます。

格子点は、まばらに並んでいるように見えるのですが、その間をすり抜けようとすると意外と難しいものです。まず、無理にすり抜けようとせずに、いずれかの格子点を通過する直線から考えることにします。
傾きの直線は、実数
kを用いて、
 ・・・@
と表せます。直線@のy切片はです。
@が格子点を通過するとして、

が成り立つのですが、kはどんな数になるのでしょうか?
mnに適当に整数を入れてみます。
とすると、となるので、です。
とすると、
とすると、
とすると、
とすると、
とすると、
とすると、
とすると、
とすると、
まだまだ続けます。
とすると、
とすると、
とすると、
とすると、
なんて、的外れなことをして遊んでいると感じるかも知れませんが、これが、難問を解くコツなのであり、また、難関大学を制覇するための手法なのです。
上記で、重要な事実に気がつけるはずです。

kの値として出てくる数は、・・・,0123456,・・・・・・というようになっています。半端な小数は出てきません。整数が順に並んでいるのです。これが、この問題のポイントです。
つまり、格子点を通過する直線@は、






 ・・・A
 ・・・B




という具合に並ぶのです。これをxy平面上に書いてみると右図のように等間隔に並びます。なぜ等間隔になるか、というと、kが整数値をとるからです。mnを整数として、

と表せるのですから、整数と整数をかけて整数、整数同士引けば整数なので、
kが整数になるのは当然です。上記では、kがすべての整数をとりそうだ、ということを確かめたのです。
こうなれば、もう、解けたのも同然です。
碁盤の目状に並んでいる竹を光がすり抜けて行くのだとしたら、右図黒線の直線のちょうど中間
(橙色の直線)を通ればよいのです。
この問題は、傾きの直線がこれらの円のどれかと共有点をもつ、と言っているのですが、光を通過させないような最小の半径はどれだけか、ということです。右図のように等間隔に並んだ直線のうち、隣り合う
2直線の距離のが最小値です。
AとBの距離を考えると、Aは原点を通るので、原点とBの距離
dを、点と直線の距離の公式を使って求めると、
求める最小値はこので、 ......[]

東大の数学の試験は150分で6題です。1題に25分かけることができます。上記のストーリーで充分に25分に入ります。この方式で34題ものにすれば充分に合格ラインに入ります。
上記で、どうして、解答にたどり着けたのか、というと、@の
xyに整数を入れてみたからです。難関大学の問題を解く、ということは、抽象的な高尚な理論を振り回す、ということではなく、誰にでも簡単にできる遊び心のようなところから、重要な事実に気がつく、ということなのだ、ということをぜひ知って頂きたいと思います。チャレンジする気持ちさえあれば、誰にでも手が届くことなのです。


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