東大理系数学'07年前期[6]

以下の問いに答えよ。
(1) をみたす実数xaに対し、次を示せ。
(2) (1)を利用して、次を示せ。
ただし、2の自然対数を表す。


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解答 何でもないように見えるこういう問題が意外と手強かったりします。(2)は、なのですが、示すべき式の範囲が狭いので、うまく行かなければ、後回しにするべきです。ここでは、試験場でハマってしまい、試行錯誤している状況を想定してやってみます。

(1) ABCDEとします。
は、 の範囲において、減少関数であり、そのグラフは下に凸です。
従って、曲線:
は、曲線上の2CDを結ぶ線分から下側に来ます。
よって、曲線と
t軸,直線:,直線:で囲まれる部分(右図で黄色の部分)の面積は、台形ACDB(右図緑線で囲まれた部分)の面積よりも小さくなります(定積分と面積を参照)
より、
 ・・・@

t微分して、
Eにおける接線は、,整理して、
ここで、とすると、 ()
これより、この接線と直線:は、第1象限において交点Fをもちます。
接線と直線:との交点を
Gとすると、接線は、曲線:から下側に来るので、台形AGFB(右図橙色の線で囲まれた部分)の面積は、
ところで、
Eは線分FGの中点なので、台形AGFBの面積は、Eを通りx軸に平行な直線、x軸、直線:,直線:で囲まれる部分(右図ピンクの長方形で囲まれた部分)の面積に等しく、
 ・・・A

@,Aより示せました。

別解  とおくと、
 (定積分と微分を参照)
 ()
よって、において、は増加。

また、 とおくと、
 ()
(
積の微分法を参照)
よって、において、は増加。


(2) (1)より、
 ・・・B

目標は、 ・・・C ですが、
Bにおいて、としてみると、
 ・・・D
これでは、Bは、となり、Cを示すことができません。
Cを示すためには、
()としたときに、 より、
かつ
 ( D)
⇔  かつ
⇔  かつ
⇔  ・・・E
をみたす
pを見つけなければいけません。
ですが、
なので、Eをみたすpは存在しないのです。
これで暗礁に乗り上げます。
つまり、というような置き方では、に限らず、pに何を入れても、
かつ
となるようにできないのです。
これでは、Cは証明できません。

問題文には、確かに「
(1)を利用して」と書かれているのですが、Bをそのまま使ったのでは、Cを示すことはできないということです。
そこで、Bを変形することを考えます。

Bの各辺に、のような形の定数を加えるのでは、
bの形の数でない限り、の扱いで困ります。
ですが、という形の数を各辺に加えて、Bの中辺をにするくらいなら、Bの各辺に、として、
定数cをかければよいのです。
こうすると、Bは、
 ・・・F
となりますが、このときには、をひねり出すために、,つまり、 とおくことになるでしょう。
面倒なので、
()として、 とおくことにします。
Fの左の不等号は、 より、
となって欲しいわけですが、整理すると、
,ただし、
この不等式は、では、のとき、左辺が急激に無限大に近づくので成り立ちません。の範囲でもきわどい不等式ですが、としてみると、
となって、不等式が成立します。
これで、Bの各辺にをかけた不等式において、
を代入、つまり、
とすれば、Cが示せそうだ、ということになります。

ですが、試験場でこんなことをやっていたら、合格はとても無理です。この問題は、最初から
とおくことに気づくのでなければ、試験場では断念が賢明です。

解答は、以下のようになるでしょう。

Bにおいて、
とおくと、

 
(です)
 (です)

各辺に2をかけて、


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