東大理系数学
'07
年前期
[4]
以下の問いに答えよ。
(1)
実数
a
に対し、
2
次の正方行列
A
,
P
,
Q
が、
5
つの条件
,
,
,
,
をみたすとする。ただし
である。このとき、
が成り立つことを示せ。
(2)
a
は正の数として、行列
を考える。この
A
に対し、
(1)
の
5
つの条件をすべてみたす行列
P
,
Q
を求めよ。
(3)
n
を
2
以上の整数とし、
をみたす整数
k
に対して
とおく。行列の積
を求めよ。
解答
東大数学では入試技巧など通用しない
、というのが、私の持論ですが、こういう問題を見ると、東大理系を目指すのであれば、世間で流通している入試技巧は一通りマスターしていて当然、と言うこともできるのです。
何の前提知識もなく、行列の定義と基本的な計算原理
(
行列
を参照
)
を知っているだけでも、この問題の解答を書くことができますが、
スペクトル分解
を知っていれば、この問題の解答を
10
分もかからずに即座に書き下すことができます。
問題文の
5
つの条件を見て、
P
,
Q
は
A
の射影子としての性質を持っている
(
「スペクトル分解」、「射影子」という用語は、
固有ベクトル
が直交しているようなときに使うので、この問題では正確には射影子ではありません
)
ということは知識のある人なら一見してわかってしまいます。すると、この解答をネット上に出すだけで著作権侵害と言われかねないなと思うくらいに、あとは一本道です。わざわざ、こんな前置きを書いているのも、著作権対策、ということで、
スペクトル分解
について知識があるという前提で考えていきます。
(1)
,
,
より、
(2)
より、
従って、
が存在します。
(
逆行列
を参照
)
(1)
で示した式両辺の右側から
をかけて、
∴
・・・@
(
E
は
2
次の単位行列
)
問題文で与えられた条件:
・・・A
×@−Aより、
A−
a
×@より、
......[
答
]
この
P
,
Q
は
(1)
の
5
つの条件をすべてみたします。
(3)
・・・B
より、
と予測できます。
数学的帰納法
によって予測が正しいことを示します。
(I)
のとき、Aより
,よって予測は正しいことがわかります。
(II)
のとき予測が正しいとして、
が成り立ちます。
両辺に、
を左からかけると、
よって、
のときにも予測は正しいことが言えます。
(I)
,
(II)
より、予測は
n
が
2
以上の整数のとき正しいことが示せました。
これを用いて、
......[
答
]
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