京大理系数学
'12
年
[5]
次の命題
(
p
)
,
(
q
)
のそれぞれについて、正しいかどうか答えよ。正しければ証明し、正しくなければ反例を挙げて正しくないことを説明せよ。
(
p
)
正
n
角形の頂点から
3
点を選んで内角の
1
つが
である三角形を作ることができるならば、
n
は
3
の倍数である。
(
q
)
△
ABC
と△
ABD
において、
かつ
ならば、
である。
解答
受験生にとっては真剣勝負の入学試験で、遊び心のある問題だなどと言ったら不謹慎かも知れませんが、どうか入学試験を楽しんでいってください、とでも言いたそうな出題者の優しい笑顔が見える気がします。無理に正解しよう、うまく切り抜けようと思わないで、いろいろといじって遊んでみることが、むしろ正解につながります。
なお、
証明の技巧
を参照してください。
(
p
)
正三角形の内角は
なので、内角の
1
つが
である三角形を作ることができます。
正方形では、対角線で
2
個の直角二等辺三角形に分かれるだけなので、内角の
1
つが
である三角形はできません。
正五角形では、隣接
3
頂点で三角形を作ると、内角は、
,
,
です。隣接
2
頂点と
1
つ離れた頂点とで三角形を作ると、内角は、
,
,
です。内角の
1
つが
である三角形はできません。
正六角形では、
1
つおきの
3
頂点で三角形を作ると正三角形なので、内角の
1
つが
である三角形を作ることができます。
正七角形、正八角形では、内角の
1
つが
である三角形はできません。
正九角形では、
2
つおきの
3
頂点で三角形を作ると正三角形なので、内角の
1
つが
である三角形を作ることができます。
これで、どうやら命題
(
p
)
は正しそうだ、と、わかってきます。
正
角形では、ある頂点から
個の頂点をおいて次の頂点を選び、そこから
個の頂点をおいて次の頂点を選んで三角形を作れば
(
この
3
頂点で正
角形の外接円の円周を
3
つの等しい円弧に分割できます
)
正三角形になるので、内角の
1
つが
である三角形を作ることができます。
逆に、正
n
角形の
n
個の頂点から
3
点を選んで三角形を作るとき、内角の
1
つが
になるということは、この内角を見込む外接円の円弧は円周の
になる、ということです。
n
が
3
の倍数でないとき、正
n
角形の隣接
2
頂点を頂点とする円弧のうちの小さい方の弧の長さは円周の
です。
k
を自然数として、
とすると
で
n
が
3
の倍数となって矛盾するので、円周の
を
k
個集めても円周の
になることはありません。つまり、正
n
角形のどの
2
頂点を選んでも、この
2
頂点を両端とする円弧は円周の
にはなり得ないので、内角の
1
つが
である正三角形はできません。
よって、命題
(
p
)
の正しいことが証明されました。
(
q
)
△
ABC
と△
ABD
とで共有する辺
AB
を弦にもつ円を考えると、
,
は、弦
AB
の上に立つ円周角として考えることができます。円の半径が大きくなると弦
AB
の上に立つ円周角は小さくなります。
これより、半径の異なる
2
円
,
を考え、
の半径が
の半径よりも大きいとします。また、
2
円は異なる
2
点
A
,
B
で交わるものとします。
であるのに、
かつ
であるような
2
点
C
,
D
が見つかれば、題意は否定されます。
なので、
C
が
上、
D
が
上に来るような状況を考えます。
右図のように、
D
を
となるようにとり、
AD
を半径とする円
を描きます。
B
は円
の内側に来ます。ここで、
B
を中心として、
BD
を半径とする円
を描きます。
B
は円
の内側に来ます。
円
は
B
を通るので、円
上の点で、円
の内側にあって、かつ、円
の内側にある点が存在します。この点を
C
とすれば、”
かつ
”を満たします。ですが、
C
は
上の点、
D
は
上の点なので
です。
よって命題
(
q
)
は正しくありません。
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