滋賀医大数学'10[4]

2回微分可能な関数,すなわちの導関数及びの導関数が存在する関数が、すべての実数xについて
を満たしている。また、とする。
(1) を示せ。
(2) を示せ。
(3) すべての実数xについてであるとき、すべての実数xについて
が成立することを示せ。


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解答 (2)の不等式の形から、平均値の定理が主役になりそうです。(3)が悩みます。の意味を考えてみましょう。
一例として、のような関数を考えてみます。

 (積の微分法を参照)

右図のように、では、 (関数の極限を参照)
では、
となっていて、は同じような変化をします。上記ではですが、ここで、においてになるとすると、の前後では正から負に符号を変えます。ということは、ここでです。なので、においてであればです。

pをある負数だとしてにおいてとすると、
 (定積分を参照)
これより、のときとなります。つまり、であるために、に引きずられてとなってしまうのです。
同様に、となるような
γ があると、に引きずられてとなってしまいます。
(3)では、となるcの存在を仮定するととなりに矛盾することからを示すことにします。
は、
(2)の不等式を利用して、仮に、となるuの存在を仮定すると、のときが負値に近づきに矛盾することからを示すことにします。

(1) とおくと、
 (商の微分法を参照)
より、単調減少関数です。のとき、です。よって、

(2) 平均値の定理を使いたいのですが、
と見て、
となる実数cが存在するから、が単調減少であることを用いて、より、
とするのは、誤りです。
となる実数となるとは限らないからです。そこで、の形のまま、平均値の定理を使うことを考えます。
そのために、「となる実数
cが存在する」、という形にします。なので、
という関数を考えます。
 (合成関数の微分法を参照)
において微分可能な関数なので、平均値の定理より、
()
となる実数cが存在します。
より、
は単調減少関数なので、より、
別解.積分によっても示せます。となるtに対して、(1)の結果を用いて、
 ・・・@
左側の不等号より、
の範囲で積分すると、


@の右側の不等号より、
の範囲で積分すると、


(3) 背理法で示します。
まず、「すべてのxについて」を否定すると、「ある実数xについてになる」ということになります。そこで、
となる実数
cが存在する、と仮定します。
平均値の定理より、のとき
(あとでとするので、cよりも大きいbを考えます)
 ・・・A
となる実数dが存在します。このとき、(1)の結果を用いて、
より、です。Aより、
ここで、とすると、 (はさみうちの原理を参照)
これは、「すべての実数について」に矛盾します。従って、「となる実数cが存在する」とした仮定は誤りで、すべての実数xについて ・・・B

「すべての実数
xについて」を否定するために、
という関数を考えます。
より、は単調増加関数です。
となる実数
uが存在すると仮定します。は単調増加なので、のとき、
(2)の結果の右側の不等号について、のとき(あとでとするので、uよりも小さいabを考えます)

 ・・・C
ここで、とすると、 () となり、は、ある負の値に近づくか、あるいは、負の無限大に発散し、「すべての実数について」と矛盾します。従って、「となる実数uが存在する」とした仮定は誤りで、すべての実数xについて,つまり、 ・・・D
B,Dより、すべての実数xについて、


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