阪大理系数学'10年前期[3]

mn3以上の整数とする。等式
を満たすmnの組をすべて求めよ。


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解答 手がかりのつかみにくい不定方程式です。少し、試行錯誤してみます。なお、整数を参照してください。

 ・・・@
まず、@をについて解いてみます。
より、
仮に、だとして分母を払うと、


これでは、mn3以上であれば、どんな大きな数でも入ってしまう(という制約はありますが)ので、有意義な条件は出てきません。
@を
nについて解いてみると、
 ・・・A
より、
なので、分母を払って整理すると、

なので、
これで、に限られます。
Aより、

 ・・・B
(i) のとき、Bより、
これが3以上の整数となるのは、のときで、各一に対応して、
(ii) のとき、Bより、
これが3以上の整数となるのは、のときで、このとき、
(iii) のとき、Bより、
これが3以上の整数となるのは、のときで、このとき、
(i)(iii)より、 ......[]

追記.本問は平面グラフに関する「オイラーの公式」をネタにした問題です。各面が正n角形になっている正面体の1頂点にm個の正n角形がつながっているとき、@が成立します。以下のように、「オイラーの公式」そのものが入試問題となったこともあります。

慶大環境情報'97[5]


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nに関する数学的帰納法:に対して命題が成り立つことを証明するには、次のことを示せばよい。
(T) のとき成り立つ。
(U) のとき成り立つとすると、のときも成り立つ。
(i) このことを用いて次のオイラーの公式の証明を完成させなさい。
平面上にある有限個の点とそれらを結ぶ互いに交わらない平面上の曲線からなる図形を平面グラフという。点を頂点、点を結ぶ曲線を辺と呼び、いくつかの辺によって囲まれた平面の有限領域であって、他の辺によって区切られていないものを面と呼ぶ。また平面グラフの任意の2点に対して、それらをそのグラフのいくつかの辺を用いて結ぶことができるとき、そのグラフは連結であるといい、そうでないとき非連結と呼ぶ。平面グラフGに対して、その頂点の個数を,辺の個数を,面の個数をと書く。このとき連結な平面グラフFに対してオイラーの公式が成立する。この公式はに関する数学的帰納法を用いて証明できる。
(T) ,すなわち、Gが一点からなるとき、より公式は成立する。
(U) のとき公式が成り立つとすると、のときも成り立つことを示す。Gから任意の一辺を消去したグラフを考える。このときは連結となる場合と、二つの廉潔な部分に分かれる場合が考えられる。前者を場合(A),後者を場合(B)とする。
場合(A):このとき、である。
場合(B):このとき、である。
ここで、の辺の数がk以下であることに注意すれば、
となる。このことから場合
(A)および場合(B)ともを導くことができる。よって数学的帰納法より求める公式が示される。
(ii) 連結な平面グラフGの外側の無限領域も一つの面として数えれば、オイラーの公式はとなる。Gの各面が3辺以上からなるとすればである、オイラーの公式に代入すればを得る。いま、平面上に5点を置く。各点から残りの4点へ互いに交わらない曲線で結べる平面グラフが存在したとすると、となり、これは上の不等式に矛盾する。したがってこのような平面グラフは存在しない。


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解答 単なるパズルです。右図を見て考えてください。
(1) 1 (2) 0 (3) 0 (4)  (5)  (6) 0 (7)  (8) 0 ......[]
(9) Gの各面をバラバラにしてしまうと、多角形が個できるので、個の3角形の辺の個数個以上の辺ができます。実際には、2個の多角形が接して1本の辺ができているので、辺の個数は少なくともだけあります。多角形が4本以上の辺で囲まれていることも考慮すると、辺の個数以上です。∴
2 ......[]
(10)(11) オイラーの公式より、
(9)の結果に代入すると、

(10) 3
 (11) 6 ......[]
(12) 各点から残りの4点に線分を引くと、重複を考慮して、本引けます。
10 ......[] (このとき、となり不等式が成立しません)

さて、上記問題(ii)の場合で、個の凸n角形の面をもつ凸多面体をよく伸びるゴムのようなもので作って、1つの面の中に1点をとり、この点を開口部としてこの面から多面体全体を押し広げて、1つの平面上にぴったり重ねてみます(右図の例を見てください)。開口部となった点が無限遠に行ってしまったとして、このときできる平面グラフを考えると、多面体の面の数は,辺の数は,頂点の数はとなります。
凸多面体を各面ごとにバラバラにしたとき各面が個の凸
n角形になり、凸多面体の1つの頂点にm個の凸n角形がつながっているとします。
バラバラにしたときの辺
2本が重なって凸多面体の辺1本となるので、凸多面体の辺の本数はです。
バラバラにしたときの頂点
m個が重なって凸多面体の頂点1個となるので、凸多面体の頂点の個数はです。
上記
(ii)のオイラーの公式:に代入すると、
となり、本問の不定方程式になります。
詳しくは、講座・数学の考え方
15「代数的トポロジー」(枡田幹也著、朝倉書店)の冒頭部分などを参照してください。

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