金沢大理系数学
'09
年
[2]
関数
は区間
で連続で、偶関数、すなわち
であるとする。次の問いに答えよ。
(1)
を示せ。
(2)
関数
(
)
について
を示せ。
(3)
関数
は、さらに等式
(
)
を満たすとする。このとき、関数
について
が成り立つことを示し、
を導け。
解答
本問だけだと、単なる計算問題ですが、物理の単振動を背景としている問題です。
(1)
において、
とおくと、
,
t
:
のとき、
u
:
(
置換積分
を参照
)
(2)
絶対値を含む定積分
は、絶対値記号内が
0
以上になるように積分区間を分割して計算します。
においては
,
においては
です。
(
定積分と微分
を参照
)
・・・@
(3)
,また、
(2)
の結果より、
・・・A
・・・B
Bにおいて
とすると、
Bを微分すると、
・・・C
@において、
とすることにより、
(
∵
(1))
∴
とおくと、
(
合成関数の微分法
を参照
)
・・・D
Cを微分すると、
(
∵
B
)
Dより、
∴
(
C
:定数
)
より、
∴
これより、恒等的に
∴
追記.この問題で、積分するときの変数を
s
,
x
を
t
,積分の下端を
と上端を
T
と書き直すと、
(
)
になります。
が
を満たすとして、
・・・E
とおくと、
より、
E
は
t
に依存しない定数になりますが、これは、
力学的エネルギー保存則
を表しています。物体の質量を
m
として、
は運動エネルギー,
は位置エネルギーを表しています。本問では、
の形が与えられてしまっていますが、Eより、
となり、両辺を
t
で積分し、
とおくと、
,
t
:
のとき、
θ
:
より、
∴
本問では、
,
となるような条件設定がされています。
なお、同じようなことをすると、
単振動
の運動方程式を
微分方程式
を持ち出さずに解くことができます。時刻
t
に位置
x
にいる質点が変位に比例する復元力
を受けて運動しているとします。質点の速度は
,加速度は
質点の
運動方程式
は、
,つまり、
・・・F
Fは、線形二階微分方程式と呼ばれるものですが、高校数学の範囲では解くことができません。ですが、エネルギーに着目すると、
質点の力学的エネルギー:
は、
(
∵
F
)
よって、力学的エネルギー
E
は時間が経過しても一定
(
力学的エネルギー保存則が成立
)
です。
より、
これより
には最大値が存在しますが、これを
A
とおく
(
振幅
)
と、
のとき
なので、
∴
∴
(
とおいた
)
逆関数の微分法
の公式を用いて、
のとき
,時刻
t
において
だとします。
両辺を
x
で
の範囲で積分すると、
とおくと、
,
x
:
のとき
φ
:
∴
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