横浜国大工数学'08年前期[4]

連立不等式
の表す図形をx軸のまわりに回転してできる回転体の体積を求めよ。

解答 単なる計算問題ですが、受験生にとっては嫌な問題かも知れません。
連立不等式の表す図形は右図の黄色着色部分です。これを
x軸のまわりに回転させた回転体の体積Vは、右図赤線部分(の範囲に図形があります)を回転させてできる回転体の体積から、青線部分(の範囲に図形があります)を回転させてできる回転体の体積を引いたものになります。
赤線部分の
円の方程式は、yについて解きの方をとって、
よって、図形がy 軸に関して対称なことに注意して、
 (x軸のまわりの回転体の体積を参照)

 (定積分不定積分の公式を参照)
定積分の被積分関数は、とおくととなるので、定積分は、右図の黄緑色着色部分(半径1の円の)の面積になり、
 (置換積分(その2)を参照)

青線部分の円の方程式は、yについて解きの方をとって、



定積分は、右図の橙色着色部分の面積(半径1の円のから底辺,高さの三角形の面積を引いたもの)になり、


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追記.この問題のような、体積を定積分により求める問題は、種々様々出題されていますが、以下の技巧を知っていると有利な場合があります。この技巧を使ってしまうと出題の意味がなくなるので、技巧を使えないように出題者が工夫していることが多く、この問題でも使えません。
パップス・ギュルダンの定理(の特別な場合):回転軸に平行な直線(回転軸との距離はr)に関して対称な図形(回転軸の片側にのみ存在する)を回転軸のまわりに回転してできる回転体の体積は、図形の面積Sと半径rの円周の長さをかけたもの:になる。
教科書に載っている定理ではないので、空所補充問題ならともかく、ロピタルの定理と同様、入試の答案の中で使って大丈夫か、という心配があります。
ですが、簡単に証明できるので、証明してから使えばよいのです。右図のような場合、灰色部分を回転させてできる回転体の体積
Vは、外側を回転させた回転体の体積から内側を回転させた体積を引けばよいわけですが、外側の曲線を ()と表すと、内側の曲線はに関して対称なので ()と表せます。


は、外側の曲線と内側の曲線で挟まれた部分の面積Sなので(定積分と面積を参照)
となります。
例えば、
楕円 ()x軸のまわりに回転させてできる回転体の体積Vは、楕円の面積がなので、パップス・ギュルダンの定理を使うと、積分計算を行わずとも即座に、
と求まってしまいます。この横国大の問題では、この定理を使われてしまったのでは、出題の意味がなくなるので、わざと円をx軸に交わらせているわけです。

蛇足の追記.本問のように対称性のない図形を回転させる場合には、無理にやるのなら、以下の一般的な場合のパップス・ギュルダンの定理なら使えます。
パップス・ギュルダンの定理:平面上に直線lと、この直線lと交点をもたない図形Kが置かれているとき、図形Kを直線lのまわりに回転して得られる回転体の体積は、図形の重心と直線との距離rを半径とする円周の長さに図形の面積Sをかけたもの:になる。
ただし、本問の場合には重心を求めるよりも上記の解答のように計算してしまう方が簡単です。むしろ、与不等式で表される図形の面積は(円のと、頂角の二等辺三角形)なので、回転体の体積Vで割って、
として、重心はとする方が簡単なくらいです。
一般的な場合のパップス・ギュルダンの定理の証明は以下のような雰囲気になります。
直線
ly 軸、図形Kを、2曲線に挟まれた領域 (右図クリーム色部分)だとします。
まず、図形
Kの質量を考えます。図形Kの点における面密度(単位面積当たりの質量)である場合に、この点を含む部分の微小面積の質量はです。図形Kの全質量は積分して、で与えられます(積分は重積分と言ってxyの両方で積分することを意味します)xのみの関数yのみの関数の積と表され、図形Kの座標xの部分のyの範囲がと表せるような場合には、重積分は、先にyについて積分し、後からxについて積分を行えばよいので、図形Kの部分に存在するとして、
 ・・・@
となります(こうしてしまえば高校の範囲内です)
パップス・ギュルダンの定理が想定している図形
Kは、均質な図形で面密度は一定値です。ここでは、だとします。すると@は、
これは、上の曲線の式から下の曲線の式を引いて積分しているので、曲線と曲線で囲まれる図形の面積Sです(定積分と面積を参照)。当然のことですが、図形Kが面密度が1の均質な図形であれば、全質量は図形の面積Sになります。
位置に置かれた質量
()n個の物体の重心の定義は、ですが、質量が連続的に分布している場合には、の極限を考え区分求積法により、分母・分子のΣを積分にします。分母については、上記のように、
となりますが、面密度1の均質な図形であれば、図形の面積Sになります。分子については、面密度xをかけて積分することになり、
(とします)
となりますが、面密度1の均質な図形であれば、
となります。とおくと、
となります。これにをかけたもの
は、曲線と曲線で囲まれる図形をy 軸のまわりに回転させてできる回転体の体積Vを円筒分割により求めたもの(y 軸のまわりの回転体を参照)です。つまり、です。
結局、質量が面密度
1で均質に連続的に分布している図形Kにおいて、重心の定義は、重心のx座標をrとして、
となります。この両辺にをかけて、
となります。


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