岐阜大数学'08[2]

関数
とおく。以下の問いに答えよ。
(1) の値を求めよ。
(2) のグラフの概形を図示せよ。
(3) すべての実数xに対して、
となる実数mの値の範囲を求めよ。

解答 被積分関数に絶対値を含む定積分の問題です。理解できている人にとっては、面倒なだけですが、苦手にしている諸氏は、本問で完全に理解してください。数学Vの指数関数・三角関数の積分でも基本は変わりません。
老婆心ながら、絶対に試験会場で、

などと安易にやらないでください。「合格」の2文字が天高く消え失せてしまいます。
(1)の出題意図は、最初から一般的に考えさせると正答率が下がるので、まず、
とやらせておいてから、一般的にを考えさせようということだと思いますが、ここでは、最初から一般的に考えることにします。

まず、
定積分
の意味ですが、tの関数:の範囲で積分することを確認しましょう。積分計算を行うときに変数となるものはt です。
絶対値記号を含む問題では、最初に絶対値記号を外すことを考えます。このために、で分けることになります。
であれば、
であれば、
です。ですが、xに何が入るのか、わかりません。t としては、の範囲で考えればよいので、xに入るのか、入らないのか、で分けて考える必要があります。
そこで、
xについて、3つの場合に分けよう、ということになります(この分け方で、のところが重複することが気になる人は、真ん中の範囲をとすればよいでしょう)
(i) の場合
の範囲のすべてのt について、です。従って、
となり、
積分はt について行っていることに充分注意してください。
(ii) の場合
このときには、の範囲のt について、となる場合ととなる場合のいずれもあり得ます。従って、定積分をの範囲との範囲の2つに分けて行う必要があります。
においては、
においては、
となるので、



(iii) の場合
の範囲のt について、です。従って、
となり、

(1) の値は、上記(ii)の場合より、
......[]

(2) 上記(i)(ii)(iii)より、
このグラフの概形は右図。

(3) いろいろな考え方が可能ですが、ここでは、場合分けして計算でやってみます。
(i) の場合
とすると、
のとき

はこの不等式を満たさないので不適です。
のとき
この不等式の右辺はのときに必ず正なので、となるxはこの不等式を満たしません。よって、不適です。
のとき
となるすべてのxがこの不等式を満たすためには、右辺が0よりも大きければよいので、
() ・・・@
(ii) の場合

 ・・・A
のとき(2次関数の軸の左側)
Aが成り立つためには、

より不適
のとき(2次関数の軸の範囲内にある)
Aが成り立つためには、

 (を解くと)

より、
 ・・・B
のとき(2次関数の軸の右側)
Aが成り立つためには、

より、 ・・・C
BまたはCより、 ・・・D
(iii) の場合
とすると、
のとき

はこの不等式を満たすので、 ・・・E
のとき
となるすべてのxがこの不等式を満たすためには、右辺が3よりも小さければよいので、

よって、このときには、 ・・・F
のとき
となるすべてのxがこの不等式を満たす」ということはありません(を満たすいかなるmの値に対しても、となる実数xが存在します)。よって、不適です。
EまたはFより、 ・・・G
すべての実数xに対して、となるためには、@かつDかつGより、
......[]

追記.会員より、(1)(2)は三角形の面積で求める方が早い、という指摘がありました。もちろんその通りです。ここでは、絶対値を含む積分の考え方の習得を目的したために上記の解法となりました。
(1)では、底辺2高さ2の直角二等辺三角形と底辺1高さ1の直角二等辺三角形の面積の和として、
(2)では、の場合は、上底下底高さの3の台形の面積として、
の場合は、底辺x高さxの直角二等辺三角形と底辺高さの直角二等辺三角形の面積の和として、
の場合は、上底下底x高さ3の台形の面積として、
として求めることができます。
(3)(2)のグラフを使って図形的に説明する解法の方が簡明ですが、上記では、わざわざロジックの複雑な解法でやってあります。ロジックの筋道をぜひ追ってみてください。


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