東大物理'03年前期[3]

 図3-1に示すように、広い水槽に水が張られており、水槽のまっすぐな縁の近くに振動数fで振動している波源Sがある。図のように座標をとり、波源Sの位置をとする。ただし、hの値は水面波の波長より大きい。また、水面波の速さをcとする。
T 波源から水面波が同心円状に広がり、水槽の縁で反射する。このとき、直接波と反射波が干渉し、強め合うところ()と弱め合うところ()ができる。そのときの、節を連ねた曲線(節線)の形状を知りたい。
(1) まず原点Oでの水面の振動の様子を観察したところ、腹であった。そこからy軸に沿って正の方向に観測点を移して行くと、位置で初めて節が見つかった。dを求めよ。
(2) 観測点が任意の位置P (ただし)にある場合、直接波と反射波がそれぞれSからPに至るまでの経路の長さを求めよ。
(3) (2)の結果と経路に含まれる波の数を考えて、観測点Pが節になる条件式をdを用いて表せ。
(4) 反射波の波面は、水槽の外の点に存在する仮想的な波源が作る直接波の波面と同等であると考えることができる。そのときのの座標を求めよ。
(5) の場合、原点Oと波源Sの間のy軸上で、2つの節が見つかった。この場合の2本の節線の概形を図示せよ。
U 次に図3-2に示すように、水がx軸の正の方向に速さVで一様に流れている。波源Sの位置は変わらない。この場合の、節の位置を探したい。ただし、とする。
(1) 波の速度は、水流がない場合の波の速度(大きさc)と水流の速度(大きさV)の合成速度になる。波源Sを出て原点Oに至る波の速さと波長を求めよ。また、原点で観測される波の振動数を求めよ。
(2) T(1)と同様に、原点から出発して観測点を移して行くと、位置で初めて節が見つかった。を求めよ。


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解答 Uでは、水面波の進行方向によって、波の進む速さが異なっていることに注意してください。

T(1) 波の基本公式より、水面波の波長です。右図のように、定常波の腹と節の距離波長に等しくなります。
よって、 ......[] ・・・@
ここで、縁上の原点が腹、ということは、縁は水面波の自由端であることに注意してください
(固定端なら節になるはずです。なお、波の反射を参照)
(2) 右図より、直接波の経路の長さは、

......[]
反射波は、Sx軸に関する対称点に波源があると考えます。
右図より、その
経路の長さ ......[]

(3) Pが節になるということは、Pにおいて直接波と反射波が弱め合うということです。反射波は、縁が自由端だから、縁で反射するときに位相のずれはありません。
Pが節になる条件は、@を用いて、
(m:整数)
つまり、 ......[]

(4) (2)より ......[]
(5) y軸上の点と、Sとの距離との距離,この点において、経路差

この点が節になる条件は、 (m:整数)

よって、においては、が節になります。(3)より、節線は2定点からの距離の差が一定となる点を結んだ曲線で、2を通る双曲線となり、図示すると右図。

U(1)  題意より、時間t 経過後水面波がOに達し、水流のない場合に同じ時間t で点Qまで進むとして、だから、
進む距離時間で割ったものが波の速さで、波の速さ振動数で割ったものが波長です。
波の速さ:,波長: ......[]
波がSからOまで進むときに、回り道をして進んでくる分だけ余計に時間がかかるので、波は遅くなるという感じです。
波源も原点も動かないので、
ドップラー効果は生じません。原点で観測される振動数はもとの振動数と同じでf ......[]

(2) y軸上で考えずに、(1)SからQに向かって速さcで進む水面波と、Qで反射してSに速さcで戻る水面波が干渉し、水流に乗ってy軸に来ると考えます。Qは自由端で腹だからQからのところに節ができます。この節の位置x軸との距離に等しいから、として、より、
......[]
y軸上で考えるなら、は、(1)で求めた波長です。


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